昔は、お盆の時期には精進料理を食べることがあった。
宮城県北部の登米地方もそうした風習があった地域のひとつだそうで、
そこから生まれたのが「仙台麩」という食材。
小麦粉を水でよく練った、「グルテン」を原料とする麩の一種なのだが、
一般的な乾燥麩が焼いて作られるに対し、仙台麩は油で揚げる。
というわけで、別名「油麩」。
10年ほど前にあるメーカーが「仙台麩」の名を商標登録したこともあり、
いまでは「油麩」の呼び名の方が通りがよくなってきているみたい。
まぁとにかくこの地域では、仙台麩=油麩は本来、夏の食材であった。

一般的な油麩は細長いフランスパンのような形状。
これを輪切りにして、煮物に入れる、味噌汁の具にする等、
従来は割と地味~な使われ方をしていた。
ところが30年ほど前に、油麩を主役に据えたメニューが考え出された。
それが「油麩丼」。
簡単に言うと、カツ丼のカツ、あるいは親子丼の鶏肉を油麩に置き換えたような料理である。
肉が食べられない客のために、旅館の女将が作ったとの説があるが、
とにもかくにもこのメニューが地元民にスマッシュヒットし、 登米の一般家庭にも普及していった。

食べてみると、甘辛い汁をたっぷり吸った油麩がなかなか美味い。
肉がないから物足りなく感じるだろうな、との予想が覆された。
これは、意外とイケるよ。
もっとも、登米一帯は良質の米どころであるから、
おいしいご飯のバックアップによるところが大きいのかもしれないな。