いまや全国各地でそれぞれアピールされる“ご当地ラーメン”。
その嚆矢は「喜多方ラーメン」であろう。
これ以前にも、札幌や九州といった、「地名+ラーメン」の言葉はあるにはあった。
ただし、札幌≒味噌、九州≒とんこつ・・・といった程度の割と大雑把な認識で
使われていたにすぎないように思う。
その土地で、地元民たち自身が“地ラーメン”として売り出していく、というビジネスモデルは、
喜多方が先鞭をつけたといっていい。

喜多方にラーメン、というか「中華そば」がもたらされたのは昭和初期。
この町にやってきたある中国人が屋台で売り歩いたのが発祥という。
その製法を学んだ市内の食堂が次々とこのメニューを取り入れていき、
現在では5万人程度の人口に対し、100軒以上の店が存在するという、
日本一のラーメン屋過密地帯になった。

良質な水や米に恵まれたこの土地では、酒や味噌・醤油などを作る醸造業が盛んであった。
そんな背景もあり、喜多方には多くの蔵が点在している。
そして昭和50年代、テレビ番組で「蔵のまち」として紹介されたことで訪れる者が増加。
観光客向けにさらに何かアピールできるものはないかということで
市の観光課職員が目をつけたのが、多くの店がある中華そばだった。
旅行ガイドブックやテレビ番組での紹介を仕掛けたところ、これが大当たり。
良質の水、醤油などの材料に恵まれたことも幸いしたのだろう。
喜多方ラーメンは安くて美味いという評判が広まっていく。
ラーメン目的で首都圏から車を数時間走らせて来る者が続出する、
はとバスが「蔵とラーメン」をテーマにツアーを仕立ててくる、等、
昭和60年代の喜多方は、なかなかすごいことになっていた。

さて、オーソドックスな喜多方ラーメンの特徴といえば、
 ○太めの平打ち縮れ麺、かつモチモチした多加水麺
 ○スープは基本的に醤油味ベース
 ○ダシにトンコツも使う店もあるが、しつこくはない
 ○小ぶりのチャーューを何枚も乗せる
 ○チャーシュー麺は、麺が見えないほど丼表面が肉で覆いつくされる
といったあたりだろうか。
しかし、喜多方のラーメンを語るならば、決して外すことのできない、 側面キーワードがある。
それは「朝ラー」、すなわち「朝からラーメン」。
喜多方では朝7時台から営業しているラーメン店がいくつも存在するのだ。
元々は、夜勤明けの工員たちや、朝の早い農家の人たちをターゲットに、
朝から営業するというスタイルが始まったらしい。
平日は出勤前に軽くラーメンを1杯、休日は早朝ソフトボールを楽しんだ後に1杯、
といった具合に、「朝ラー」は喜多方市民のライフスタイルの一部となっているという。

そんなわけで、早朝から現地に乗り込んで朝ラー体験してみる。
なるほど、暖簾が出ると同時に、次々と客がやって来る。
ここではこれが当たり前の光景なんだなぁ。
ちなみに「朝ラー」をやっているのは、有名店が多い。
休日の昼は大行列の店でも、朝なら割とすんなり食べられる。
喜多方行くなら朝ラーやって観光、これがおすすめ。