北海道の釧路周辺では、緑色のそばが幅をきかせている。
緑色の正体は、クロレラの葉緑素。
その粉末を混ぜてそばを打っているわけだ。
今回は、釧路でクロレラ入りそばを最初に出したという店で注文(写真)。
この店ではまだこの程度の色合いだが、その弟子筋では、もっと緑色が鮮やかな、
いわば翡翠麺みたいなそばを出す店もあるとか。
かつては別の着色料を使っていたものの、添加物の規制が強化された際に
試行錯誤の末に、クロレラ葉緑素に行き着いたそうな。

しかし、何故にクロレラ粉末を?
ちょっと調べてみたら、おもしろいことがわかった。
東京の神田に「かんだやぶそば」という有名店がある。
この店でも、釧路ほどではないにせよ、クロレラ葉緑素粉末を用いて
緑っぽく着色したそばを客に提供しているというのだ。

そばは、実のどの部分を挽いた粉末を使うかによって色が異なってくる。
実の内側の粉を使えば白っぽく、逆に表層部の粉だと色が濃くなる。
さらに外の甘皮部までが挽かれて混じった粉でそばを打ってみると、
特に収穫後の新そばでは、ほのかに緑がかった麺となる。
で、新そば以外の時期でもこの色合いを出そうということで、
「かんだやぶそば」ではクロレラ粉末を使っているらしい。
いつ頃から始められたものかは不明だが、「藪そば」を名乗るそば屋では
こうしたそばへの着色が伝統的によく行なわれているという。

釧路のそば店も、この「藪」の伝統を受け継いだ可能性が高い。
その証拠に、その元祖の店を除いて、緑色のそばを出す店には
のれんや看板に「藪そば」の文字が出ているそうだ。
すなわち「更科そば」と書いてあったり、特に明記されてない店では
このイロモノにはお目にかかれない。
釧路でそばを食べに出かける際は、その点に気をつけて店を選ぶべし。