一時、讃岐うどんにハマり、香川を聖地と崇めたワタシにとって、
富士吉田のうどんとの遭遇は、たいへんな衝撃であった。

定番はキャベツに馬肉だという、乗せる具もちょっと変わっているが、
それよりも強烈な個性を放つのが、うどんの麺そのものだ。
その特徴を一言で表すなら「超剛麺」。
いわゆるコシがある、というものとは違う。
歯ごたえがある、というか、はっきりいって硬いのである。
しかし、決して美味しくないわけではない。
濃い目のダシ汁(醤油と味噌の微妙な配合)とマッチしていて、
なかなかにいける。
こんなうどんもありかと、ちょっとしたカルチャーショックを受けたものだ。

富士山の北にある吉田の気候は冷涼で、あまり稲作には向かない。
そんなわけで麦作が行なわれ、うどん食の文化が育まれた。
現在、人口5万人ほどのこの地には、50軒以上ものうどん屋があるという。
最近でこそ“うどんの街”として売り出しているが、
基本は地元民生活密着モノなので、飾らない店が多い。
中には、民家を開放してそのまま商売しているような店もある。
さらに看板すらない店もある。
他人ン家の座敷でご馳走になっているような気分で、ちょっと楽しい。