東京はそば文化の土地、というイメージがあるが、
ちょっと郊外に出ると、それは当てはまらない。
東京の多摩地区、そして隣接する埼玉県南西部にかけては、
実はそばよりもうどん食の方が根づいている。
かつてこの一帯では、小麦の生産が盛んであったことがその理由。
米が少なく、麦で食いつないでいた頃の習慣から生まれたのが、
今回紹介する「武蔵野うどん」だ。

麺は、一般的なうどんと比べて太く、かつ固い。
コシがあるが、讃岐うどんのようなしなやかなさはない。
やや無骨な剛麺、といえばなんとなくわかっていただけるだろうか。
原則的には地物の小麦粉を使う。
そのせいか、ほのかにやや茶色がかった麺を出す店が多い。
ポピュラーな食べ方は、もりうどんスタイル。
水で絞めたうどんを、かつおだしと醤油ベースの汁につけていただく。
つけ汁のメインの具としてキノコやナスなどを入れる場合もあるが、
より「武蔵野うどん」らしさを味わいたいならば、
やはり豚肉を入れた「肉汁うどん」が一番だろう。
濃いめの汁に豚の脂の旨みが混じりあって生まれる味のハーモニー。
これが剛麺にとても合う。

最近は都心にも「武蔵野うどん」を出す店が現れたが、
食べに行くなら東村山、武蔵村山、東大和といったあたりまで足をのばすのがお勧め。
地味だけど、いい雰囲気の店がたくさんあるぞ。