関西のいわゆる粉モン+ソース食文化の代表といえば、なんといってもお好み焼きだろう。
しかし、一概に関西名物といっても、どこへ行っても同じようなお好み焼きと遭遇するとは限らない。
局地的に、ちょっと個性的なスタイルが根づいている場所もある。

兵庫県南部、播磨灘に面した高砂市。
この近辺には、「にくてん」と呼ばれる食べ物がある。
見ためは普通のお好み焼きと何ら変わりなさそうだが(写真)、
“関西風”の概念で考えると、高砂流=「にくてん」は異端の存在だ。
●特徴その1:焼き方
関西風お好み焼きは、キャベツなどの具と生地とを先に混ぜてから
鉄板の上に広げて焼くのが一般的。
だが高砂流は、まず鉄板の上に薄くクレープ状に生地を引き、その上に具材を乗せて、
さらにその上にまた生地をかける。
すなわち、広島風お好み焼き的な手順をとる。
●特徴その2:具材
必ず、甘辛く煮込まれたジャガイモが入る。
他にはキャベツ、ネギ、天かす、そして牛スジ肉とコンニャクを入れるのがよくあるパターン。
そもそも「にくてん」は、関東煮(おでん)の具を小さく刻んでお好み焼きに入れてみたものが
始まりだという。
その名残りが、煮込んだジャガイモや、牛すじコンニャクというわけ。

仕上げにソースを塗り、お好みで削り節粉や青ノリをかけるなど、
基本はお好み焼きに他ならないのだが、食べてみるとなんかひと味違う。
ダシの染みたジャガイモが、文字通りいい味出してるのだね。
オーソドックスな形態のお好み焼きに駆逐されることなく
これからもこの地で生き残ることを切に願う。