沖縄の代表的な地酒といえば泡盛。
これはお米、それもジャポニカ種ではなくタイ米を原料とした蒸留酒である。
ところが同じ南西諸島でも、奄美群島ではだいぶ状況が異なっていて、
同じ蒸留酒ではあるものの、こちらは黒糖焼酎が有名。
この違いを深く理解するには、歴史的背景を知る必要がある。
江戸時代初期、薩摩藩が琉球に侵攻。
沖縄本島以南はその後も琉球王国が存続することとなったが、
奄美群島は事実上、薩摩へ割譲された。
直轄地となった奄美で、薩摩藩はサトウキビ以外の農業を禁止。
米やその他の農産物は、サトウキビと引換えに薩摩が配給したという。
つまり、お酒を造るにも、サトウキビしかなかったというわけなのだ。

さて、サトウキビと引換えにするための米が不足した折に、
その代用品として、そうめんがこの地に持ち込まれたらしい。
かくして、産地でもない奄美でも、そうめん食がなされるようになった。
とても話がまわりくどくなったが、ようやく本日ご紹介する郷土料理「油そうめん」の話である。
「油そうめん」は元々は農作業の休憩時に食べられていたものだそうで、
明治維新以降に徐々にこの地域に広まった。
作り方は至って簡素。
 ①そうめんを固めに茹で、水洗いして水気を切っておく。
 ②一口大に切った野菜や豚肉などを油で炒め、塩や醤油などで調味。
 ③そうめんを加え、さらに炒めて出来上がり。
油をからめて炒めるから「油そうめん」。うーん、わかりやすい。
はっきり言ってご家庭でも作れる簡単料理であるが、
現地へ出かけて、その悲しい収奪の歴史に思いをはせながら食べると、
また格別な味わいがする、かもしれない。