南紀名物といえば「めはりずし」が有名だが、今回はこれと似て非なる郷土料理を紹介しよう。
その名は「めぇ寿司」。
既にご存知という方は、地元民か、あるいはよほど食に通じた人だろう。
南紀でも串本町付近でしか食べられていないという、超限局的ローカルフードだ。
なお、「めのすし」という呼び名もあるようだが、より関西口語表現っぽい「めぇ寿司」で通す。

パッと見、「めはりずし」風の形状。
しかし、高菜の葉ではない、茶色っぽくツヤツヤしたナニモノかでご飯がくるまれている。
これが通称「めぇ」で、その正体は、海藻の一種だ。
使うのは、この地域で採れるヒロメ、またはアントクメ。
どちらもコンブ目に属する幅の広い海藻なのだが、これをだし汁、醤油、砂糖などで煮付けて
酢飯をくるむ。
そう、酢飯を用いるところも「めはりずし」との相違点だ。

いただいてみると・・・やはり海藻、まずはニュルッとした食感が。
煮物用のコンブを炊いたものよりもさらにやわらかくした感じ、
と表現したらおわかりいただけるだろうか。
砂糖や味醂などが結構きいていて、かなり甘いと感じる味。
「めはりずし」の近縁かと思いきや、対極に位置するものだなぁ。

これはあくまでも家庭料理で、旅行者が簡単に口にできるものではないと思っていた。
実際、ネット検索してみた限りでは、ある駅の駅舎内売店で週に1度だけ売られている
という情報を得られただけ。
ところが、フラリと入った某観光地の食堂でこのメニューを発見。
しかも、この店でも常時用意している品ではないらしい。
運が良ければ出会える、ちょっと難易度の高い一品である。